11月の安全運転のポイント

いい運転、ハートフル
平成13年11月


 追越し時の緊張感や、先急ぎからのイライラなど、自動車の運転は多かれ少なかれ精神的緊張やストレスを伴うものです。緊張やストレスは、交感神経の緊張→アドレナリン分泌亢進→血管収縮となり血圧の上昇や脈拍の増加を引き起こしますので、乱暴な運転を続けると身体に悪影響をもたらすだろうということは想像に難くありません。では実際にはどうなのでしょうか?これを明らかにした実験があり、興味深いデータがでていますのでお知らせします。(実験は埼玉県警察本部交通企画課と日本交通科学協議会常任理事である医学博士小野昌子医師が協力して行われたものです)

安全運転と乱暴運転の場合の血圧と脈拍を測定
 物損事故の損害件数は約674万件であり、人身事故被害者数(125万人)をはるかに超える件数となっています。交通事故の中身は人身事故のほかに、膨大な物損事故があることが分かります。ちなみにこの数字は1999年中の新車販売台数(670万台)にも相当します。(グラフ1参照)。
 一方、物損事故の損失額総額は1兆8,041億円で、埼玉県、神奈川県の年間予算額に匹敵する大きさです。
 また、人身事故損失額1兆6,765億円と合わせた交通事故全体の年間経済的損失額は3兆4,806億円と推計されています。(グラフ2)これはタイや香港の国家予算額を上回る巨大な数字です。
運転時は、血圧・脈拍とも上昇
乱暴運転ではさらに上昇

 1回目、2回目の実験とも、年齢に関係なく、運転時(安全運転走行)は乗車前よりも血圧・脈拍ともに上昇しました。
そして乱暴運転(スラローム走行)ではさらに上昇しました。第1回目グループ(平均年齢35歳)平均値でみると、最高血圧が116→141(+25)→159(+43)mmHg、最低血圧が72→83(+11)→89(+17)mmHgに上昇、脈拍も75→81(+6)→88(+13)と増加しています。(表1、平均欄参照)。
 また、個別の例でみると56歳の女性(K.Iさん)は、乗車前の血圧は130・64でしたが、乱暴運転時には201(+71)・111(+47)まで一瞬ですが急上昇しています。74歳の男性(Y.Sさん)も乱暴運転時の最高血圧200(+68)まで急上昇しています。さらに、平常時においても高血圧症の数値(160・78)を示していた77歳男性(S.Tさん)は乱暴運転時に215・103となり、最高瞬間値が221となっています。(表1、2参照)

血圧の上昇は危険、安全運転は健康と直結

 実験結果から、緊張を伴う高速走行や乱暴運転は血圧を上昇、脈拍も増加させることがわかりました。これらを日常的に行っていると健康にも害を及ぼすと小野医師は指摘しています。すなわち、「高血圧症の発症や合併症の進展につながる可能性があること、また、普段から血圧が高めだったり、血圧が上がりやすい人の場合、高速道路走行や乱暴運転などをすると、血圧や脈拍が急上昇することが考えられ、脳卒中や狭心症などを発症する危険性がある。(高血圧は脳卒中の最大の危険因子で血圧レベルが高くなるほど発症率は高くなる。血圧160/95mmHg以上の高血圧患者の脳卒中発症率は正常血圧者の8倍もあるといわれている)」
 そして「このような人は、つねにゆとりを持った運転を心がけること。体調の異変を感じたら運転を中止すべきです。安全運転をすることは、事故の危険を未然に防ぐことになるだけでなく、健康的にも重要です」と、まさしく安全運転は健康に直結していることを指摘しています。

 

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